ビジネスフォンの設置工事には資格が必要!工事の種類や費用相場まで解説

ビジネスフォンの設置工事は、資格が必要であり、知らずにおこなうと電気通信事業法違反になります。
この記事では「ビジネスフォンの設置工事に必要な資格や工事の種類、費用相場」を詳しく紹介します。
工事の種類に応じて資格も異なるため、ぜひ最後までご覧ください。
ビジネスフォンの工事とは
ビジネスフォンの工事は、企業の通信環境を整えるために必要な作業です。
ビジネスフォンは、企業の業務効率を向上させる重要な役割を果たすため、適切な工事をおこなうと、安定した通信環境を確保できます。
たとえば、電話回線収容や主装置、電話機の設定工事があります。
主に3つの工事を通じて、ビジネスフォンの機能を最大限に活用できるため、企業の通信環境を整えるために欠かせない作業です。
ビジネスフォンの工事の種類
ビジネスフォンの工事は、3種類あります。
- ①電話回線収容工事
- ②主装置設定工事
- ③電話機設定工事
それぞれの工事は、ビジネスフォンの機能を最大限に引き出すために必要です。
①電話回線収容工事
電話回線収容工事とは、外部の電話回線を建物内に引き込む工事です。
既存の電話回線を利用する場合も、収容作業が必要となります。 具体的には、電柱から建物までの電話線を引き込み、建物内に配線をおこなう作業です。
電話回線を建物内に適切に収容すると、ビジネスフォンが利用可能となります。そのため、ビジネスフォンの設置には電話回線収容工事が欠かせません。
②主装置設定工事
主装置設定工事とは、社内の電話機同士をつなぐ主装置(交換機)の設定をおこなう工事です。
ビジネスフォンでは、主装置が社内の電話機を制御し、内線通話や転送機能などを実現できます。
主装置の設定作業には、以下のようなものがあります。
- 電話番号の設定
- 内線番号の設定
- 鳴りわけ設定
- 通話録音や留守録機能の設定
主装置の設定は、ビジネスフォンの基幹部分である主装置の各種設定を適切におこなうため、専門の工事業者に依頼するケースが一般的です。
③電話機設定工事
電話機設定工事とは、各電話機の設定や配線工事です。ビジネスフォンでは、主装置に接続された各電話機に対して、内線番号や機能の設定が必要になります。
また、電話機と主装置を適切に配線する必要もあります。
電話機設定工事には、以下の作業内容があります。
- 内線番号の設定
- 転送機能の設定
- 通話録音機能の設定
- 電話機と主装置の配線工事
ビジネスフォンを適切に運用するために、電話機設定工事は欠かせません。
ビジネスフォンの工事に必要な「工事担任者」の資格とは

ビジネスフォンの工事は、国家資格を持つ工事担任者が監督または施工する必要があるため、資格の種類によって、担当できる工事の範囲が異なります
工事担任者の資格は、以下の通りです。
- AI種(アナログ回線)
- DD種(デジタル回線)
- AI・DD総合種
ビジネスフォンは一般の電話とは異なり、社内の電話機をつなぐための、主装置(交換機)の設定が複雑とされています。
また、電話配線工事も伴うため、専門知識が必要です。もし無資格者が工事をおこなうと、電気通信事業法違反になる可能性があります。
①AI種(アナログ回線)
AI種(アナログ回線)とは、すべてのアナログ電話回線およびISDN回線への接続工事が可能な工事担任者の資格です。
アナログ電話回線やISDN回線は、従来から広く利用されている基本的な通信サービスです。これらの回線への接続工事を適切におこなうには、専門知識と技術が必要となります。
AI種の工事担任者は、以下のような工事が可能です。
- アナログ電話回線への電話機の接続工事
- ISDNの構内交換機(PBX)への接続工事
- 接続回線数や工事規模を問わず、上記の工事が可能
AI種の工事担任者資格を持つ者は、アナログ回線やISDN回線への接続工事をおこなう権限があるため、ビジネスフォン導入時は、有資格者による適切な工事が義務付けられています。
②DD種(デジタル回線)
DD種(デジタル回線)とは、ブロードバンドインターネットやイーサネットなどのデジタル回線への接続工事が可能な工事担任者の資格です。
DD種の工事担任者は、以下のような工事が可能です。
- ブロードバンドインターネット回線への接続工事
- イーサネット回線への接続工事
- 光ファイバー回線への接続工事
DD種にも第1種から第3種までの区分があり、回線速度や工事規模によって担当できる範囲が異なります。
DD種の工事担任者資格を持つ者は、デジタル回線への接続工事をおこなう権限があります。デジタル通信の普及に伴い、このような有資格者による適切な工事が重要視されています。
③AI・DD総合種
AI・DD総合種とは、アナログ回線とデジタル回線の両方への接続工事が可能な工事担任者の最上位資格です。
近年、デジタル通信の需要が高まり、従来のアナログ回線に加えてデジタル回線への対応が求められるようになりました。
そのため、アナログ・デジタル両方の回線への接続工事を適切におこなうための総合的な専門知識と技術が必要となります。
AI・DD総合種の資格を持つと、以下のような工事が可能です。
- アナログ電話回線への接続工事
- ISDNの構内交換機(PBX)への接続工事
- ブロードバンドインターネット回線への接続工事
- 光ファイバー回線への接続工事
AI・DD総合種は、アナログ通信とデジタル通信の両分野を包括する最上位の工事担任者資格です。デジタル化が進む中で、この資格の重要性は高まっています。
ビジネスフォン設置工事の相場

ビジネスフォンの設置工事費用は、オフィスの規模や導入するシステムの規模、作業内容によって異なります。
一般的な相場は以下の通りです。
- 小規模事務所や店舗(従業員5名程度):18万円~30万円
- 中小企業(従業員30名前後):80万円~170万円
- コールセンターや営業会社:430万円~630万円
また、電話機1台につき1万円〜2万円の工事費用がかかると想定されています。
ビジネスフォンの導入には、電話機やPBX(交換機)の設置、配線工事などが必要となるため、自社の規模を踏まえ、適切な費用を見積もりが重要です。
ビジネスフォンの設置工事の手順

ビジネスフォンの設置工事をおこなう際の手順を紹介します。
- ステップ①:見積もりを取る
- ステップ②:工事の手配・日程調整をする
- ステップ③:回線収容工事をする
- ステップ④:電話機設置工事をする
- ステップ⑤:ビジネスフォンの配線・接続を確認する
1つずつ解説します。
ステップ①:見積もりを取る
まずビジネスフォンの工事業者に見積もりを依頼します。
工事費用は、オフィスの規模や導入するシステムの規模、作業内容によって異なるためです。
見積もりを依頼する際は、導入するビジネスフォンの数や電源箇所など、必要な情報を事前に確認しておく必要があります。
適切な見積もりを得るには、自社の状況を正確に伝えるのが重要です。
ステップ②:工事の手配・日程調整をする
次に、工事業者と工事日時を調整し手配をおこないます。
工事日程は、回線の種類によっても異なり、たとえば、NTTの光回線工事であれば2週間〜3か月の期間を要します。
工事には一定の準備期間が必要となるため、円滑な工事を進めるには、業者と十分に調整をおこなうのが大切です。
ステップ③:回線収容工事をする
工事当日は、電話会社の回線に社内の電話機を接続する回線収容工事をおこないます。
社内の電話機を電話会社の回線に接続する必要があるため、アナログ電話回線やISDN回線への接続工事が含まれます。
ステップ④:電話機設置工事をする
続いて、各電話機の設置と配線工事をおこないます。
主装置に各電話機を接続する必要があるため、内線番号の設定や転送機能の設定、電話機と主装置の配線工事がおこなわれます。
ステップ⑤:ビジネスフォンの配線・接続を確認する
最後に、全ての配線と接続が正しくおこなわれたかを確認して完了です。
なにかしらの不備があると、ビジネスフォンが正常に動作しません。とくに、断線に注意が必要で、ビジネスフォンの故障原因にもなります。
確認作業を怠ると、後々トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
ビジネスフォンの設置工事はプロに任せるのがおすすめ

この記事では「ビジネスフォンの設置工事に必要な資格や工事の種類、費用相場」を詳しく紹介しました。
ビジネスフォンの工事は、プロの工事業者に依頼するのがおすすめです。ビジネスフォンの工事は複雑で、電気通信事業法違反にもなりかねません。
万が一、資格のない社員などにビジネスフォンの設置を任せてしまうと、電気通信事業法違反になる可能性があります。
ビジネスフォンの設置には、有資格の工事担任者による適切な工事が義務付けられているため、プロに依頼してみてください。