カフェ開業に必要なことは?開業手続きや資格、資金について解説

カフェ開業のために必要な準備について、不明確な方もいるでしょう。
この記事では、カフェ開業までの7つのステップを、必要な資格や資金、届出も踏まえて解説します。
スムーズなカフェ開業を実現するために、ぜひ役立ててください。
カフェ開業に必要な準備8ステップ

カフェ開業までのおおまかな流れは、以下のとおりです。
- 開業に必要な知識やスキルを習得する
- カフェのコンセプトを考える
- 事業計画書を作成する
- 開業資金を準備する
- 内装・設備の工事をおこなう
- メニュー開発を進める
- 必要な届出をおこない、許認可を得る
- 宣伝する
どのような準備をすればよいのか、8つのステップに分けて解説します。
1.開業に必要な知識やスキルを習得する
まずは、経営に関する知識、接客スキル、調理技術、衛生管理など、開業前に必要な知識やスキルを身につけます。
必要な知識・スキル | 習得方法 |
---|---|
経営に関する知識 | 書籍やセミナー、オンライン講座など |
接客スキル | 接客マニュアルの参考、ロールプレイングでの実践練習など |
調理技術 | 調理学校に通う、経験豊富なバリスタやシェフから指導を受けるなど |
衛生管理 | 保健所などが主催する講習会への参加など |
経営に関する知識には、売上・利益管理、仕入れ、在庫管理、人材育成、マーケティングなどがあり、カフェを円滑に運営するために必要不可欠です。
カフェ経営に特化したセミナーや講座は、実践的な知識を習得できるでしょう。
また、顧客に気持ち良く過ごしてもらうためには、笑顔で丁寧な接客を心がける必要があります。
顧客ニーズを的確に捉え、最適なサービスを提供できると、顧客満足度を高められます。
調理技術は、カフェのメニュー開発や提供に直結する重要なスキルです。
おいしいコーヒーや軽食の提供は、顧客満足度を高めるだけでなく、リピーター獲得にもつながります。
そして、衛生管理も、カフェ経営において軽視できない要素です。
食品衛生法に基づいた衛生管理の徹底により、食中毒などのトラブルを未然に防げます。
これらの知識やスキルをバランス良く身につけると、カフェ開業を成功に導くための基盤を築けるでしょう。
2.カフェのコンセプトを考える
カフェのコンセプトは、お店の個性や方向性を定める重要な要素です。
どのような顧客に来てほしいのか、どのような体験を提供したいのかを明確にすると、開業準備のあらゆる場面で判断基準にできます。
コンセプトを定めるためには、5W2Hを活用するとよいでしょう。
項目 | 内容 | 例 |
---|---|---|
When(いつ) | いつ利用されるカフェか | 朝、昼、夜 |
Where(どこで) | どのような場所にあるか | 駅近、住宅街、オフィス街 |
What(何を) | どのような商品・サービスを提供するか | スペシャリティコーヒー、軽食、ランチ |
Who(誰に) | ターゲット顧客は誰か | 学生、ビジネスマン、主婦 |
Why(なぜ) | なぜこのカフェを作るのか | 地域に貢献したい、自分の好きなことを仕事にしたい |
How(どのように) | どのようにサービスを提供するか | セルフサービス、テーブルサービス |
How much(いくらで) | どれくらいの価格帯か | 低価格、中価格、高価格 |
たとえば、ターゲットを近隣のビジネスマンに設定した場合、提供するメニューはランチセットや手軽な軽食が中心となり、店内は落ち着いた雰囲気でWi-Fiが完備されていると喜ばれます。
一方、学生をターゲットとするなら、リーズナブルな価格設定で、勉強や会話がしやすい明るい空間が求められます。
3.事業計画書を作成する
事業計画書は、カフェ経営の将来像や短期・中長期の経営計画、売上目標などをデータで示す計画書です。
開業時の融資申請には、必ず作成しなければなりません。
事業計画書には、おもに以下の内容を記載します。
- 開業する動機と目的
- 経営者の職歴、事業実績
- 取扱商品やサービス
- 戦略、現状分析
- 取引先と取引関係
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
事業計画書の作成により、経営計画が明確になり、外部からのサポートを得やすくなります。
しっかりとしたプランをもって開業に臨むことで、カフェオーナーとしての自信にもつながるでしょう。
4.開業資金を準備する
カフェ開業には、物件取得費や内装工事費、厨房機器の購入費など、多額の資金が必要となります。
開業資金をどのように準備するか、事前にしっかり計画を立てておきましょう。
開業資金は、自己資金と融資の組み合わせで準備するのが一般的です。
自己資金は、貯蓄や親族からの援助などで用意します。
融資を受ける場合は、日本政策金融公庫や民間の金融機関に相談する方法があります。
開業資金を準備する際には、想定外の費用が発生することもあり、余裕をもった金額を設定しておくことが大切です。
また、開業当初は売上が安定しない場合もあるため、数カ月分の運転資金を確保しておくと安心です。
5.内装・設備の工事をおこなう
理想のカフェを実現するため、そして顧客に満足していただくために、内装や設備工事はしっかりと計画を立てておこないましょう。
内装工事はカフェの雰囲気を決定づける大切な要素であり、ターゲットとする客層に合わせたデザインやレイアウトを考える必要があります。
居抜き物件の場合は、以前の設備を活かせる部分と変更が必要な部分を明確にすると、費用を抑えながら理想の空間を作り上げることが可能です。
設備工事に関しては、エスプレッソマシンやコーヒーミル、オーブンなど、カフェのコンセプトに合った機器を選ぶと、効率的なオペレーションと質の高いメニュー提供が可能になります。
また、顧客が快適に過ごせるよう、空調設備や音響設備にも配慮しましょう。
6.メニュー開発を進める
メニュー開発は、売上に直結するだけでなく、お店のコンセプトを体現する役割も担います。
魅力的なカフェメニューを作るには、以下5つの要素を意識しましょう。
- ターゲット層に響く、独自のテーマやストーリーを明確にする
- 利益を確保しつつ、顧客に納得いただける価格を設定する
- 材料の配合や調理方法を細かく記録し、安定した品質を保つ
- 写真映えする盛り付けや彩りを工夫し、食欲をそそる演出をする
- メニュー名にもこだわり、魅力を伝えるネーミングを考える
これらの要素を踏まえ、定番メニュー、日替わりメニュー、期間限定メニューをバランスよく構成すると、顧客を飽きさせず、リピートにもつなげられます。
7.必要な届出をおこない、許認可を得る
カフェを開業するには、以下のようにさまざまな届出が必要です。
届出先 | 届出内容 |
---|---|
保健所 | ・飲食店営業許可 ・食品衛生責任者の設置届 |
税務署 | ・個人事業主:個人事業の開業届出 ・法人:新設法人の届出 ・所得税の青色申告承認申請書 |
消防署 | ・防火対象物使用開始届出書 ・火を使用する設備等の設置届出書 ・防火管理者選任届出書、消防計画作成届出書 |
警察署 | 深夜における酒類提供飲食店営業届出 |
労働基準監督署 | 労災保険 ・保険関係成立届 ・概算保険料申告書 雇用保険 ・雇用保険適用事業所設置届 ・雇用保険被保険者資格取得届 |
社会保険事務所 | 社会保険 ・新規適用届か、任意適用申請書 ・被保険者資格取得届 |
特に、保健所への飲食店営業許可と食品衛生責任者の設置届、税務署への開業届は必須の届出です。
状況により、ほかにも必要な届出があるため、自店舗の状況に合わせて忘れずに手続きしましょう。
具体的な要件については、以下の記事で詳しく解説しています。
飲食店の新規オープンで必要な届出は?手続き方法や補助金を解説
8.宣伝する
カフェ開業に向け、宣伝活動も重要な要素の一つです。
効果的な宣伝活動は、オープン前から顧客の期待感を高め、開業後の集客へとつなげられます。
宣伝活動は、ターゲット層の明確化から始めましょう。
近隣住民をターゲットとするのか、特定の層を狙うのかによって、適切な宣伝方法は変わります。
たとえば、近隣住民向けにはチラシ配りや地域情報誌への掲載、特定の層にはSNSや専門サイトを活用した情報発信が効果的です。
宣伝方法は多岐にわたるため、費用対効果の高い方法を選択することが重要です。
自店舗に合ったマーケティング施策をアドバイスしてもらいたい場合には、プラストのモバイルマーケティングをご利用ください。
専門知識をもつスタッフが、効果的なお客様育成フローをご提案いたします。
また、開業前の宣伝活動として、プレオープンも有効です。
プレオープンは、関係者や近隣住民を招待し、実際にカフェの雰囲気やメニューを体験してもらうことで、口コミによる宣伝効果が期待できます。
カフェ開業前に取得しておくと有利な資格

カフェ開業前に取得しておくと有利な資格もあります。
代表的な資格を解説します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、カフェの開業に必須の資格です。
以下に該当する人が、食品衛生責任者になれます。
- 栄養士・調理師・製菓衛生師・食鳥処理衛生管理者・船舶料理士と、畜場法に規定する衛生管理責任者/作業衛生責任者の資格保持者
- 食品衛生管理者、または食品衛生監視員となれる資格を有する者
- 食品衛生責任者の資格取得のための養成講習会修了者
食品衛生責任者の養成講習会は、各都道府県で開催されており、お住まいの地域によっては、対面の集合型講習会のほか、オンラインで講義動画の視聴とテストを受けるeラーニングも選択可能です。
調理師免許
調理師免許は、カフェ開業に必須の資格ではありませんが、取得しておくとメニュー開発や調理技術の向上に役立てられたり、顧客からの信頼感を得られたりなどのメリットがあります。
調理師免許を取得する方法は、以下のとおりです。
- 専門学校や養成施設に通って取得する
- 実務経験を積んだうえで調理師試験に合格する
調理師免許は、厚生労働大臣が指定する調理師専門学校や、調理科などのクラスのある高校、大学などの養成施設を卒業すると、住所地の都道府県知事への申請により取得できます。
また、2年以上調理の実務経験を積んだうえで、各都道府県が実施する調理師試験に合格して免許を取得する方法もあります。
製菓衛生師
製菓衛生師は、洋菓子や和菓子、パンなどの製造に携わる際に衛生的な製造、販売をおこなうための国家資格です。
資格取得には、以下いずれかの条件をクリアし、試験に合格する必要があります。
- 養成施設で1年間製菓衛生師に必要な科目を修了
- 菓子店などで、製造に携わる仕事を2年以上経験
製菓衛生師の資格を取得すると、衛生管理だけでなく、品質管理や栄養面も考慮した製造、販売をおこなえます。
カフェ全体のイメージアップにもつながるでしょう。
コーヒーインストラクター
カフェの開業にあたり、コーヒーに関する専門知識を有していると、大きな強みになります。
コーヒーインストラクターの資格は、全日本コーヒー商工組合連合会が認定する民間資格です。
資格を取得するには、同協会が認定するコーヒー検定に合格する必要があります。
資格の種類には、1級から3級、コーヒー鑑定士があります。
資格の種類 | 合格により認められる内容 |
---|---|
3級 | 入門編的なコーヒーの知識と鑑定技術を有する |
2級 | 基礎的なコーヒーの知識と鑑定技術を有する |
1級 | 高度で専門的なコーヒーの知識と鑑定技術を有する |
コーヒー鑑定士 | コーヒーの原料調達・製造管理・品質管理など、極めて高度で専門的なコーヒーの知識と鑑定技術を有する |
コーヒー鑑定士は、商品設計・生豆鑑定・品質管理の3教科で分けられています。
それぞれの合格により各教科のマスターと認定され、3教科合格することで「コーヒー鑑定士」と認定されます。
資格を取得したうえで、コーヒーの淹れ方教室やワークショップなどを開催すれば、新規顧客の獲得やカフェの知名度アップにもつながるでしょう。
開業に必要な準備を進めてスムーズなカフェ開業をかなえよう

カフェ開業は、綿密な計画と準備が必要です。
開業までの道のりは複雑に感じるかもしれませんが、適切なステップを踏めると、スムーズな開業を実現できます。
まずはこの記事を参考に、カフェの開業に必要な知識やスキルを習得しつつ、コンセプト設計からおこないましょう。