ラーメン店を開業する時に失敗しない手順10ステップ!必要な資金と資格を紹介

ラーメン店を開業したいけど「資金はいくら必要なのか」「店を開くまでの手順はどうすればいいのか」と、悩んでいる経営者がいると思います。
店の大きさによって異なりますが、約20坪(平均客数約20〜35人前後)の大きさを考えている場合の開業資金は約1,400万円、運転資金は約500万円が必要になります。
また、開業する場合はしっかり手順を踏んで、計画的に行動しないといけません。
そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
- ラーメン店の開業・運転資金
- 開業の手順10ステップ
- 開業するに必要な資格
- 開業で失敗しないラーメン店の3つの特徴
この記事を読むことで、開業に必要な準備と失敗しないラーメン店の特徴が理解できます。
これからラーメン店を開業しようと検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
ラーメン店の開業・運転資金は総額約2,000万円

ラーメン店の開業と運転資金を合わせると、必要な費用は約2,000万円になります。
具体的には、開業資金が約1,460万円、運転資金が約500万円です。
これは、店舗の大きさを20坪と考えた時の金額であり、10坪の店舗を検討している場合は、約1,000万円が必要です。
日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は1,077万円であり、中央値は550万円でした。
そこで、ラーメン店の必要な開業・運転資金の内訳を、以下の表にまとめました。
費用名 | 概要 |
---|---|
物件取得費 | ・前払い家賃 ・仲介手数料など |
内装工事費 | ・壁紙 ・照明 ・水回りなど |
外装工事費 | ・外壁の塗装 ・看板など |
厨房設備費 | ・コンロ ・茹で麺機 ・冷蔵庫など |
資格取得費 | ・食品衛生責任者 ・防火管理者 |
広告宣伝費 | ・チラシ ・ポスターなど |
食器・消耗品費 | ・どんぶり ・コップ ・紙ナプキンなど |
賃貸料 | 1ヶ月あたり約6~10% |
人件費 | 1ヶ月あたり約20~30% |
原材料 | 1ヶ月あたり約30~35% |
水道光熱費 | ・水道 ・電気 ・ガス |
上記の資金以外に、厨房内外のどちらかに「グリーンストラップ」を導入しなければならない地域があるため、設置する工事費も必要になります。
また、加盟金(フランチャイズ契約をする場合の資金)や保証金などの支払いが発生する可能性があるでしょう。
ラーメン店開業の手順10ステップ

ラーメン店を開業する場合、10つの手順は以下のとおりです。
- コンセプトの作成
- メニューの考案
- 立地と物件探し
- 事業計画書の作成・資金調達
- 店舗デザイン設計をして工事
- 設備の導入
- 資格の取得
- 各種届出の提出
- 従業員の採用
- 広告作成の活動
それぞれ詳しく解説します。
1.コンセプトの作成
ラーメン店の開業において、コンセプトの作成は重要です。
具体的には、店舗の方向性や特徴を明確にすることです。
コンセプトが不明瞭だと、メニューや顧客へのサービスなどの全体の統一感が欠けてしまい、開業後の集客や運営に支障が出てしまうでしょう。
コンセプトの作成は「7W2H」の視点で考える方が決めやすいです。
「7W2H」とは、以下の意味になります。
- Why:なぜ開業するのか
- When:いつ開業するのか
- Where:どのエリアで開業するのか
- Who:誰と働くか
- Whom:ターゲットは誰にするのか
- What:メニューはどうするのか
- Which:イチ押しメニューをどうするのか
- How:どのように店の存在を広めていくのか
- How much:どれくらいの資金をかけるか
このように、店舗の方向性を具体的にすることで、開業後の運営がスムーズに進みます。
2.メニューの考案
メニューの考案は、新規顧客に興味を持ってもらうために必要な工程です。
メニューは、店舗のコンセプトやターゲット層の好み、地域のニーズに合わせて考えなければいけません。
そのため、事前に競合店に調査していく必要があります。
そして、独自のオリジナリティを加えることで他店との差別化を作り出します。
しかし、張り切りすぎてメニューの種類が多くなると、スタッフの負担や提供が難しくなるでしょう。
メニューの考案は、シンプルな数で顧客に響くラインナップを心がけてください。
3.立地と物件探し
立地と物件探しでは、ターゲット層の集客や顧客の利便性に直接影響するため、適切な場所選びが大切です。
しかし、家賃が高すぎると運営コストが増加し、経営の負担になる恐れがあるため、コンセプト作成時に具体的に使える資金を決めておきましょう。
たとえば、ファミリー層が多いエリアを選ぶ場合、家族連れに合ったサービス提供がしやすくなります。
また、サラリーマンが多い駅の近くや人通りの多いエリアでは、広すぎず狭すぎない物件を選ぶことで、回転率も速く効率的な運営が可能になります。
そのため、ターゲット層やコストバランスを考慮した立地と物件探しをして、決めたら契約をしましょう。
4.事業計画書の作成・資金調達
無事に物件が決まったら、事業計画書の作成と資金調達をします。
事業計画書とは、店舗の運営方針や収益目標などを具体的に記載したものであり、銀行や投資家から融資を受ける際に必要です。
事業計画書は審査の基準になるため、より具体的に書かれていると、融資を受けやすくなります。
たとえば「ターゲット層は若い学生のして、駅近くのエリアで月額100万円の売上を目指す」といった、実現性が高い目標設定にすることです。
事業計画書は資金調達に必要なものであるため、開業のリスクを抑えるためにしっかり計画を練りましょう。
5.店舗デザイン設計をして工事
資金調達後は、店舗のデザインを設計しましょう。
店舗のデザインは、立地やターゲット層に合わせた内装やレイアウトが求められます。
たとえば、カウンター中心のレイアウトは一人で来店する客が多い地域に適しており、ファミリー層が多いエリアでは、テーブル席の充実がポイントです。
また、厨房の設計にも注意が必要です。
効率よく配置すればスタッフの動線がスムーズになり、作業効率やサービス向上につながります。
さらに、店のイメージによって内装の色合いや装飾品にもこだわる必要があります。
店舗設計にこだわることで、集客力を高め、スタッフの働きやすさや顧客満足度に影響してくるでしょう。
6.設備の導入
店舗デザインの工事終了後、設備を導入します。
具体的には、寸胴鍋やガスレンジ、保健所の基準を満たす冷蔵庫などです。
店舗の規模やメニューに応じて、適切なサイズや機能を持つ設備を整えると、コスト削減につながります。
また、効率的な調理や、安定した味の提供を可能にするために欠かせません。
設備導入は、計画的に行う必要があるため、導入日時をしっかり把握しておきましょう。
7.資格の取得
ラーメン店を開業するには、必須の資格を取得します。
食品を扱う店舗としての基本条件を満たすことで、安全かつ信頼性の高い営業が可能になります。
ラーメン店開業時に必要な資格は「食品衛生責任者」です。
食品の安全管理を担う責任者を配置するための資格であり、自治体が行う講習会を受講することで取得できます。
また、お酒を提供する場合は「酒類販売業免許」、収容人数が30人を超える店舗の場合は、「防火管理者」が必要です。
必要な資格を把握して、適宜取得しましょう。
8.各種届出の提出
開業する際に必要な資格を取得したら、必要な届出を各場所に提出しましょう。
各種届出の提出先を以下の表にまとめています。
提出先 | 届出内容 |
---|---|
保健所 | 食品営業許可申請 |
税務署 | ・個人事業の開業・廃業等届出書 ・青色申告承認申請書」 ・労働保険(従業員を雇用する場合) |
必要な届出を提出することで、法的な基盤を整えられ、安心して営業を開始できます。
9.従業員の採用
開業の届出が完了したら、従業員の採用が必要です。
店舗の広さによって従業員を雇う人数は異なりますが、円滑な店舗運営には、優秀なスタッフを揃えることが重要です。
スタッフの採用で行うことは、以下のとおりです。
- 仕事の内容や勤務条件を説明する
- 飲食店経験や接客スキルがあるか聞く
- 通勤時間を確認する
そして、従業員の面接時には、コミュニケーションを取り、人柄を重視して見てみましょう。
採用後は、雇用契約書の作成や社会保険などの雇用者の手続きは、忘れないうちに早く済ませることが大切です。
10.広告作成の活動
従業員採用後、広告作成の活動を行いましょう。
広告作成は、店舗の認知度を高め、新規顧客を獲得するために大切です。
広告は、ターゲット層に合わせた方法を選びます。
たとえば、若年層をターゲットにしたい場合はSNS、地元住民をターゲットにしたい場合はポスターやチラシなどを活用します。
開業前にターゲットに合った広告活動をして、店舗の存在をアプローチしましょう。
ラーメン店開業するに必要な資格

ラーメン店開業に必要な資格や許可を、以下の表にまとめました。
資格・許可 | 概要 |
---|---|
食品衛生責任者 | 飲食店で食品の安全性や衛生管理を監督し、責任を持つ人 |
飲食店営業許可 | 飲食店を営業するために保健所から取得が必要な許可 |
防火管理者 | 火災発生時の対応や予防策を管理するために必要な資格 |
防火管理者は、収容人数が30人を超える店舗に関して必要になります。
一方「調理師免許」は必ずしも必要ではありません。
開業で失敗しないラーメン店の3つの特徴

開業して失敗しないラーメン店の特徴を、以下の3つにわけて解説します。
- ターゲットやニーズを絞る
- 効率的な内装を設計する
- 味にこだわり過ぎない
さっそく見ていきましょう。
1.ターゲットやニーズを絞る
開業して失敗しないラーメン店の特徴は、ターゲットやニーズを明確に絞っていることです。
競合店と差別化を図るために「誰に何を提供するか」を、具体的に考える必要があります。
たとえば、以下のとおりです。
- 学生向けにリーズナブルな格安ラーメン
- 健康志向の人に低カロリーラーメン
- 地元の食材を活かしたご当地ラーメン
このように、競争の激しい市場でも支持される店舗づくりが大切です。
2.効率的な内装を設計する
開業して失敗しないラーメン店の特徴は、効率的な内装を設計していることです。
効率的な内装とは、厨房と客席を適切なレイアウトにして、顧客に提供するまでの動線を短くすることです。
すると、スタッフの作業効率が向上され、スムーズなサービスが提供できます。
また、顧客の回転率を上げるために、座席数や座席の配置も大切です。
内装設計がうまくいくと、スタッフの負担が軽減され、顧客の満足度がアップするでしょう。
3.味にこだわり過ぎない
開業して失敗しないラーメン店の特徴は、味にこだわり過ぎないことです。
ラーメンの味は重要ですが、過剰にこだわりすぎるとコストや時間、労力を使いすぎてしまう可能性があります。
たとえば、スープにこだわってしまうと、材料の調達が続くため原価が高くなり、利益が圧迫されてしまいます。
そのため、シンプルで再現性が高い味を提供することで、コスト管理が徹底され、安定した営業を続けられるでしょう。
開業に成功して顧客に好かれるラーメン店を目指そう

ラーメン店の開業には、コンセプトの作成から運営まで計画的に進めることが大切です。
また、店舗開業と運営には約2,000万円の資金が必要であり、内装や設備などに配分されます。
開業で失敗しないためにも、コンセプト作成時にターゲットやニーズを明確にすることで、顧客に合わせたサービスを提供できます。
また、効率的な内装設計はスタッフの作業効率の向上や顧客の回転率を上げ、顧客満足度を高めるでしょう。
ラーメン店の開業は、広告活動を通じて地域に愛される店舗を目指すことが大切です。
開業手順を間違えなければ、開業して失敗することなく、顧客に好かれるラーメン店の実現が可能になるでしょう。