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固定電話加入権はなくなる?相続評価で損をしないために正しい手続きを知ろう

2023年3月20日

電話加入権(固定電話加入権)は固定電話を利用するために負担しなければならない施設設置負担金です。
しかし、携帯電話や光回線など他サービスの普及によりアナログサービスとされる電話加入権は他のサービスに取って代わられつつあります。

この記事では電話加入権の概要や相続評価で損をしないための正しい事務手続きについて紹介します。
また、電話加入権が導入された背景や近年の使用状況などをチェックしましょう。

電話加入権の有無を確認して正しい手続きをしましょう。

<この記事で分かること>
・電話加入権とはどういうもの?
・電話加入権の料金は?
・電話加入権を契約・解約する方法を知りたい!
・電話加入権は2025年までになくなる?

電話加入権とは

電話加入権とはNTT東日本やNTT西日本の加入電話回線を利用するための権利です。
電話加入権は「施設設置負担金」とも呼ばれ、個人間で譲渡や売買ができる特徴があります。

電話加入権が求められた時代背景を歴史と共に確認していきましょう。

NTTの施設設置負担金

電話加入権は施設設置負担金と呼ばれることもあるように、本来は電話設備を利用するために必要な費用をユーザーが負担するという考えによるものです。

電話事業が始まった19世紀当初、電話は無料で使用できるものでした。
しかし、NTTグループの前進である日本電信電話公社が電話回線を敷くための施設を設置する費用を使用者に負担することを求めるようになります。
こういった施設設置の負担金が電話加入権の始まりとされています。

なお、電話加入権は当初8万円と高価なものでしたが、通信技術の発達や携帯電話の普及による固定電話の需要が減少したことを背景に、現在では39,600円(税込み)まで値下がりしています。
NTTとしても最新の事業環境に適応するため「施設設置負担金の見直しが必要な状況」であると認めているものです。

【電話加入権とは】

電話加入権とは、「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」(電話サービス契約約款第21条)です。
一方、施設設置負担金は、加入電話等の新規契約の際にお支払いいただく料金であり、加入電話(単独電話)の場合で72,000円(税込75,600円)となっていました。

また、最近では、競争事業者が施設設置負担金のような初期負担を設けない電話サービスを開始する等、市場環境が著しく変化してきており、弊社としても、新たな事業環境に適応するために、施設設置負担金の見直しが必要な状況になっています。

引用:施設設置負担金についてのご説明|NTT西日本

電話加入権の料金と価格推移

固定電話を使用する際の料金は契約時に発生する「初期費用」と毎月発生する「回線料」に分けられます。
このうち、電話加入権は契約時の初期費用に分類される料金です。

初期費用

電話加入権を契約するには初期費用として以下の料金がかかります。

契約料880円(税込み)
施設設置負担金39,600円(税込み)
工事費不要※

(出典:NTT東日本)
※工事内容により工事費は異なります

回線料

設備の保守・更改にかかる費用など電話を使用するために負担が必要な事務手数料です。
NTTの回線使用料は以下の通りとなっています。

 回線3級局2級局1級局
プッシュ回線用(事務用)2,750円(税込み)2,640円(税込み)2,640円(税込み)
ダイヤル回線用(事務用)2,750円(税込み)2,585円(税込み)2,530円(税込み)
プッシュ回線用(住宅用)1,870円(税込み)1,760円(税込み)1,760円(税込み)
ダイヤル回線用(住宅用)1,870円(税込み)1,705円(税込み)1,595円(税込み)

(出典:NTT東日本)

電話加入権のメリット

電話加入権を利用するメリットとして、以下2点が挙げられます。

  • 電話番号が変わらない
  • 電話加入権の譲渡・承継・休止手続きできる

メリット1.電話番号が変わらない

電話加入権のメリットは契約を変えても電話番号が変わらないことです。

ひかり電話を使っている場合、契約を変更すると電話番号が変わってしまう場合があります。
電話加入権を使用していれば電話番号を変えなくて済むため、今まで使っていた電話番号を使い続けられるのです。

メリット2.譲渡・売却・承継できる

電話加入権は他人へ譲渡・売却・継承が可能です。

解約する場合に支払ったお金は戻ってこないため、他人へ譲渡や売却をすることで使わなくなった資産を有効活用できます。
電話加入権を譲渡する場合は書類の手配など、正しい事務手続きをする必要があります。

電話加入権の契約方法と解約方法

電話加入権はNTTに申し込んで正しい契約をする必要があります。

解約あるいは譲渡・売却する場合は正しい手続きを経なければなりません。
電話加入権の手続き方法について詳しく見ていきましょう。

申し込み方法

電話加入権の契約申し込みはNTTの契約申し込みフォーム、あるいは局番なしの「116」から申し込み可能です。
取付工事はNTTが電話加入権の入金を確認したあとに行います。

電話加入権の契約に必要なもの

電話加入権の契約に申し込みには個人・法人ともに本人を確認できる証明書が必要です。
個人の場合は運転免許証などの本人確認書類、法人の場合は「登記情報提供サービス」を利用して登記情報を確認します。

【個人の場合】

<1枚で証明できるもの>
運転免許証、パスポート、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード(個人番号カード:表面)等
<2枚で証明できるもの>
健康保険証、国民年金手帳、印鑑登録証明書等

【法人の場合】

「登記情報提供サービス」により、登記情報を確認。
※ 上記サービスにて確認ができなかった場合は、下記資料のいずれか
登記簿謄(抄)本(書面)、資格証明書、現在事項全部証明書、地縁団体台帳、印鑑登録証明書

引用:NTT東日本

電話加入権の解約方法

使わなくなった電話加入権(施設設置負担金)がある場合、解約する以外にも知り合いや業者に譲渡することで電話加入権で負担した金額を一部取り戻せる場合があります。
電話加入権を解約したい場合はNTTの窓口で申請することで解約が可能です。

電話加入権を解約するほかにも、以下3つの手段で他人へ譲渡できます。

  • 業者に売却する
  • 知人へ譲渡する
  • 休止の手続きをとる

NTTの見解では電話加入権は基本料の前払いの位置づけであり、「解約時等にも返還していない」と発表しています。
そのため、解約する際は当初支払ったお金は返金されません。

この施設設置負担金は、加入電話等のサービス提供に必要な弊社の市内交換局ビルからお客様の宅内までの加入者回線の建設費用の一部を、基本料の前払い的な位置付けで負担していただくものであり、お客様がお支払いいただいた額を加入者回線設備の建設費用から圧縮することにより、月々の基本料を割安な水準に設定することでお客様に還元しており、解約時等にも返還しておりません。

引用:施設設置負担金についてのご説明|NTT西日本

業者に売却する

電話加入権は金券ショップなど、買取専門業者に売却ができます。

しかし、電話加入権は供給過多になっており金券としての価値は少ないです。
買取相場は1,000円から2,000円ほどの料金なので売却する手間や費用を考えると大した金額ではありません。

電話加入権を売却する場合は不法な取引に巻き込まれることがないよう、信頼できる売却先を選定することが重要です。

知人へ譲渡する

名義変更の手続きをすることで知人へ電話加入権を譲渡可能です。

名義変更の手続きには880円の手数料(税込み)がかかります。

休止の手続きをとる

電話回線加入権の権利を保持したまま「休止」の状態にできます。

休止にすることで電話回線料が発生しなくなります。
将来必要になった時まで休止にすることで権利を保留できるのです。

なお、休止期間は特に設定がないため何年でも休止の状態にできます。
(5年あるいは10年ごとに休止手続きの延長申し込みが必要です)
休止期間には定期的に本人確認の連絡が来るため、本人確認が取れない場合契約は無効となってしまうため注意しましょう。

休止の手続きには880円の手数料(税込み)および2,000円前後の工事費用がかかります。

電話加入権の相続

電話加入権を相続する場合は正しい相続の手続きが必要です。
電話加入権の評価方法について確認しましょう。

電話加入権の評価方法

電話加入権を相続する場合、どれぐらいの金額で評価すれば良いでしょうか?

国税庁によると、電話加入権の評価額は「売買実例価額、精通者意見価格等」を考慮するとされています。
電話加入権の評価額の目安は各都道府県において標準価額が設定されています。

例えば、令和2年度の東京都における標準課税は1,500円です。

電話加入権については、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。
なお、相続税等の申告に当たっては、一般動産についての財産評価基本通達128《評価単位》の定めに基づき、一括して評価する家庭用財産等に電話加入権を含めることとして差し支えありません。

引用:電話加入権の評価|国税庁

電話加入権の相続は申告しなければならない?

電話加入権の評額は1,000円から2,000円前後と少額なものですが、少額であっても申告は必要です。
相続税は金額に関わらずすべての相続を申告しなければならないのです。

申告を怠ると延滞税などの罰則が課せられることがあるので注意しましょう。

名義変更の手続き

相続等で電話加入権を譲渡する場合、名義変更の手続きが必要です。

手続きに必要な申込書類はNTTのWebサイトから取り寄せられます。
相続の場合には死亡の事実と相続関係を証明できる書類(戸籍謄本や遺言書など)も必要です。

外部リンク:電話名義の変更|NTT東日本

電話加入権の会計処理

電話加入権は会計処理上「非償却性資産」として無形固定資産に計上します。
無形固定資産は形を伴わない資産のことであり、電話を使用できる権利として取り扱うものです。

電話加入権を解約あるいは売却した場合は権利が消失するので損金として取り扱います。
このときの経費は「除却損」あるいは「売却損」として以下のように会計処理をします。

ケース借方貸方
電話加入権を現金で支払った場合電話加入権 39,600円現金 39,600円
電話加入権を解約した場合除却損 39,600円電話加入権 39,600円
電話加入権を2,000円で売却した場合現金 2,000円
売却損 37,600円
電話加入権 39,600円

表:電話加入権を契約・解約あるいは売却した場合の会計仕訳

電話加入権はなくなる?

携帯電話やスマートフォンなどの普及で従来の固定電話は少しずつ役割が変わりつつあります。

「電話加入権はなくなる?」「固定電話はなくなる?」と噂されることがありますが、実際には固定電話がなくなることはありません。
また、電話加入権が廃止されるアナウンスもされていません。

NTTではこれまで使っていた固定電話の設備を2024年からIP網へ移行する動きが進められています。

IP網への移行

NTTではこれまで使っていた固定電話(加入電話・INSネット)の設備を2024年からIP網(インターネット・プロトコル網)へ移行すると発表しています。

IP網とはインターネットネットワークを利用した通信回線であり、IP網を活用することで遠距離との通話も容易になります。
IP網に移行した後も旧来の固定電話は引き続き利用可能です。

ユニバーサルサービス

ユニバーサルサービスとは「加入電話、公衆電話、緊急通報」といった公共性の高い電話サービスです。

ユニバーサルサービスを運営するために必要な料金は電話会社がそれぞれ負担しており、ユーザーにも「ユニバーサルサービス料」として請求されています。
ユニバーサルサービスは公的な電話サービスであるため、通信会社を含むユーザーがサービスの運営費を負担しているのです。

電話加入権の有無を確認して正しい手続きをしよう

電話加入権は固定電話が当たり前だった時代に導入された料金形態です。
しかし、携帯電話やスマートフォンが普及するにつれて固定電話の使用率も下がり、電話加入権の需要は下がっています。

使わなくなった電話加入権は解約手続きをするほか、売却・譲渡・休止する方法があります。
電話加入権は解約してもお金は戻ってきませんが、売却や譲渡することで有効活用することが可能です。

電話加入権を相続する場合は正しい評価額を算定して税務署へ申告する必要があります。
名義変更などの諸手続きを正しく行う必要があるので、所定の手続きにしたがって電話加入権を正しく取り扱いましょう。

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